日水と国立健康・栄養研究所の共同研究:日本の魚摂取量が多い集団で全死亡リスク6%低減、心血管死亡リスク15%低減
日本水産株式会社(日水)と国立健康・栄養研究所の共同研究は、メタアナリシスにより初めて、魚介類の習慣的な摂取量が多い日本の成人は低摂取群に比べて全死亡リスクが6%低く、心血管疾患死亡リスクが15%低いことを確認した。関連論文は2026年10月23日に『European Journal of Clinical Nutrition』オンライン版に掲載された。
日本水産株式会社(日水)と、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)傘下の国立健康・栄養研究所からなる共同研究チームは、2026年10月23日、Nature系列の学術誌『European Journal of Clinical Nutrition』オンライン版に「Fish intake and mortality in Japan, a high fish-consuming country: a systematic review and dose–response meta-analysis of cohort studies」と題する研究論文を発表した。メタアナリシスにより初めて、日常的な魚介類摂取量が多い日本の成人は摂取量が少ない集団に比べて全死亡リスクが低いことを確認したものである。研究チームは横井香織氏、金惠敬(Hye-Kyeong Kim)氏、加藤晃子氏ら両機関の専門研究者で構成されている。
研究チームは、魚食習慣の健康効果に関する疫学的証拠は国際的に多く蓄積されているものの、日本のように日常的な魚消費量がもともと多い集団を対象とした検証や、摂取量と死亡リスクとの用量反応関係に関する研究は依然として不十分であると指摘した。そこで研究者らは、既発表の学術論文113編を系統的にレビューし、18歳以上の日本人を対象とした前向きコホート研究16件を選別。さらにそのうち定量的メタアナリシスに必要なデータを備えた9件を選び併合解析を行った。併合データセットには全死亡34,055例、心血管疾患死亡15,351例が含まれる。
解析の結果、魚摂取量が最も多い群は最も少ない群と比べて全死亡リスクが6%低く(ハザード比HR 0.94、95%信頼区間0.89~0.98)、魚介類摂取量が多い群は心血管疾患死亡リスクが15%低かった(HR 0.85、95%信頼区間0.80~0.91)。用量反応分析では、死亡リスクの低減効果は1日あたり約100グラムに達するまで摂取量の増加に伴い明らかに強まるが、それを超えるとリスク低減効果は横ばいになることが示された。
この研究成果の発表時、日本水産業は国内水産物市場の構造的縮小に直面している。水産庁が公表した『水産白書』の公式統計によると、日本人1人あたりの年間魚介類消費量は2001年度に40.2キログラムの過去最高を記録した後、持続的に減少し、2023年度にはピーク時の約半分にまで落ち込んだ。
日水は社長兼最高経営責任者(CEO)の田中明氏が率い、国立健康・栄養研究所は中村祐輔氏が理事長、瀧本秀美氏が所長を務める。両機関は、公衆の健康効果を最大化するための精密な摂取量ガイドラインの策定に向けて、さらなる科学研究を推進するとしている。
